このゼミについて


〇 ゼミづくりのポリシー

 文教大学は、私にとって二つ目の勤務校となります。

 1校目の北海道教育大学旭川校は私にとって、とても快適なところでした。ですが、ゼミ生にとって、私のゼミは必ずしも快適ではなかったようです。卒業した学生から、

 

「先生の研究室に入っただけで怒られた」

「動いただけで怒られた」

 

などと、今頃になって言われるからです。

 それで決心しました。

1)学生に優しくなろう――でも馴れ合いにはならない。勉強しない学生はびしびし指導する。

2)上下の学年に仲良くなってもらう――でも、先輩―後輩のけじめはつけてもらう。ただ、先輩だからと言って威張るのではなく、先輩と言われるにふさわしい実力をつけてもらう。そのために、私も頑張る。

3)2年間、私のゼミにいる間に、社会科論を持つことの大切さをわかってもらう。

4)せっかく大学という高等教育機関に来たのだから、英語恐怖症はなくす。そのためにゼミの中で英語文献を読む機会を必ず取り入れる。

 

 みんなで仲良く、そして力をつける――これが私のゼミづくりのポリシーです。


〇 ゼミ入りから卒業まで


2年生

○ 2年生の11月~12月:社会専修の5つのゼミの見学→ゼミ決定

○ 2年生の1月:4年生の「卒論発表会」に出て、自分と4年生の実力差を痛感する。

○ 2年生の2月:3年生を手伝ってゼミ誌「夢さ志」(ムサシと読みます)をつくる。

○ 2年生の3月:ゼミの「4年生を送る会」に参加し、3年生がどんなによく働くかを実感

        する。


3年生

○ 3年生の4月:ゼミで4年生の「卒論 はじめに」の発表を聞いて、自分の力量とのあま

        りの違いにショックを受ける。

○ 3年生の5月:吉田と児童中心主義的な教育実践をやっている小学校に行き、そこの授業

        を見て、自分の小学校時代の授業との落差に驚いて帰ってくる。

○ 3年生の5月:シャベッセという授業研究会で他専修の3年生を子ども役にして模擬授業

        を行う。人にわかるように、楽しそうに語ることの難しさを体験する(平

        成29年度は3年生の数が少なすぎるので別の形のものを行う)。

○ 3年生の5~6月:4年生が教育実習に行っている間に、社会科教育関係の学会誌(吉田

        の研究室にある)や先輩の卒論を読み、紹介する。「考察」が300字くら

        いしか書けない自分の情けなさを味わう。

        教育実習ご苦労さん会を設定し、盛り上げに頑張る。

○ 3年生の8月:秩父か奥多摩に行き、シーカヤックで遊ぶ。でも、吉田に指定された本を

        読み、それについて討論する時間もあるので、夜は楽しくない(平成29年

        度は3年生の数が少なすぎるので中止するかもしれない)。

        初めて、中心になってゼミ誌作りを行う。自分が教師になったときに学級

        文集を作るためのコツを覚えるが、仕事が多くて辛い日々が2~3日続く。

○ 3年生の9月以降:本格的に自分は卒論で何を書くのかを決め、それに見合った論文を読

        み、ゼミでその論文を紹介する。力が上がっていると、「考察」の部分が

        400字詰め原稿用紙で1~2枚くらい書けるようになる。

○ 3年生の11月:この頃から、教員採用試験の勉強を周りのものが始めるので、自分もや

        らないといけないような気持ちになってきて、問題集のようなものを買っ

        てきて問題を解き始める。

        学内で行われる論作ゼミに出て、採用試験の小論の書き方のこつを学ぶと

        ともに、教育問題や教育界の話題に対する関心を深める。

○ 3年生の12月: 自分に割り振られた4年生の卒論を読み、吉田が見逃した誤字・脱字を

        見つけるとともに、注の付け方、見出しのフォントなど、吉田ゼミの卒論

        の形式を学ぶ。

○ 3年生の1月:4年生の「卒論発表会」に出て、自分と4年生の実力差を改めて痛感す

        る。でも、なんとか追いつけるかもしれないという気持ちは出てくる。

○        卒論発表会の後の「ご苦労さん会」の設定と盛り上げに頑張る。

○ 3年生の2月:ゼミ誌「夢さ志」と「卒論集 銀漢」(「あまのがわ」と読む;間違って

        も吉田の前で「ギンカン」と読まない。機嫌が悪くなる)をつくる。

○ 3年生の2~3月:わくわくビレッジに行って、教採に備え面接練習などをみっちり行

        う。

○ 3年生の3月:「4年生を送る会」を設定し、盛り上げる。

 


4年生

○ 4年生の4月:卒論の「はじめに」を吉田に提出。

○ 4年生の5~6月:小学校へ教育実習に行く。教師っていい職業だなあと思えなかった場

        合には、進路変更を考えた方がよい。

○ 4年生の7~9月:教員採用試験。受かったら、素直に喜ぼう。落ちたときには「艱難、

        汝を玉にす」という吉田が大好きな言葉を味わう。

○ 4年生の10月初め:教採に落ちた場合でも、卒論の「はじめに」と「第一章」を提出す

        る。

○ 4年生の12月10日頃:卒論「理論編」提出。大体A4版(35字×40行)で20~30枚くらい

        は例年出ている。

○ 4年生の1月7日:第1回卒論発表会(終わるとすごくうれしい)

○ 4年生の1月最終の土曜日:第2回卒論発表会(卒業生が来やすいように土曜日に設定し

        ているのだけれど、3学期は忙しいのか、ほとんど来てくれない。吉田の

        不徳のいたすところで、在校生には申し訳なく思っている)

○ 4年生の2月下旬:吉田と一緒に卒業旅行(寒い時期なので基本的に暖かな方面;流氷を

        見に行くのもいいが天候が悪いと飛行機が羽田に引き返すという事態も考

        えられる)

○ 4年生の3月:卒業式(吉田は別れが悲しいのだけれど、学生は吉田と別れられること、

        新しい環境に飛び込めること、この2つでわくわくしている)。


〇 本ゼミのあ ゆ み

 吉田が北海道旭川市に行ったのが平成5年3月28日でした。住まいのあった埼玉県三郷市では、すでに桜の花が咲きはじめていました。ですから、旭川空港に向かって下降を開始した飛行機の窓から雪景色が見えたときには、大変なところに来たという思いで胸が満たされました。

 

 しかし、案ずるより産むがやすし。すぐに近所にも職場にも仲の良い人たちができ、そのおかげで楽しく充実した暮らしが送れました。春は野草採り、夏は渓流釣りなどにも行きました。町内会で行うジンギスカンも待ち遠しい行事でした。

 

 附属小学校の先生たちも模擬授業の会(シャベッセ)に協力してくれ、学生たちにアドバイスをしてくれました。この先生方も今は校長になったり、教職大学院の教授になったりしています。

 

 学生たちも素直で人懐こいうえに、やる気にあふれた者がゼミに集まってくれました。毎年3月には、雪のなかをドライブして大雪青年の家まで行き、英語合宿をやりました。卒論テーマなどの関係でロンドンに行ったりシンガポールに行ったりもしました。

 

 私は、メディアとか社会科論といった研究テーマのほかに、北海道の副読本や中学校社会科歴史教科書に見られるアイヌ民族関係記述の質やそれがつくられた背景を探るという研究テーマに出会うことができました。

 

 しかし、家庭の事情で本州に戻らざるを得なくなり、文教大学にお世話になることになりました。

 平成22年3月30日にこちらに来て、4月から文教大の学生たちと顔を合わせることになりました。

 首都圏の学生と思えないほど素直な学生がいたりして、働きやすい職場だなと思わされました。そして、学生に助けられながらゼミづくりを始めました。

 

 本来なら、平成22年4月からの主な出来事を以下に書いていくべきなのですが、このホームページ作りのソフトに出会ったのが平成29年になってからなので、1年前から、筆を起こします。



平成28年2月 ゼミ卒業旅行 with 24年度入学生と

 岡山県倉敷から広島県広島市、そして宮島への旅でした。

 倉敷では、大原美術館を見た後、ボランティアの方の案内で街を見て歩きました。街のことが分かって面白い、というのが感想です。すっかり忘れていたのですが、ここで一年後に届くように手紙を書いてポストに投函しました。それが本当に届き、驚きました。

 広島は、原爆記念館が勉強になりました。やはりボランティアガイドさんがいると学習の深まりが違います。


平成28年5月27~28日 先進校授業参観

 信州大学附属長野小学校の研究会に3年生9名と出かけました。

 長野小学校の総合学習は戦前から有名ですが、今もその伝統は脈々と引き継がれているようで、すごい授業を幾つか見せてもらいました。

 一番心に残っているのは、5年生のものでした。学校の敷地内にある大きな池。これを5年生たちはきれいにする運動をしてきたようです。自分たちももちろんそのための作業をしています。この運動をこれからも続けていくべきか、またさらに下の学年に継いでもらうための働きかけをするべきか、について本音で話し合っていました。「やろうよ」論だけでなく「やめようよ」論も出せるところがすごいなあ、と思ってみていました。

 社会科では「今の備えで本当に大地震が来て被災したときに大丈夫なのだろうか」について、地域の防災施設の実態や地域の人々の意識調査を踏まえて話し合っている4年生の授業の迫力に圧倒されました。

 子どもたちの顔がわかる写真を載せられない時代になったので、授業の写真をここに掲載できないのが残念です。

 全校音楽集会もなかなかなものでした。ゼミ生たちのなかには、子どもたちがあまりにのびのびしていることに若干の違和感を持ったものもいて、「ああ、こういう見方もできるのだな」とゼミ生がどういう小学校教育を受けて来たか、なんとなく見えました。

 下の写真のうち、下段の3枚は善光寺とその近くにある西光寺を見学したときのものです。西光寺は今時珍しい「絵解き」を、住職の奥様が実際にやって見せてくれます。感動ものです。

この先進校参観によって、ゼミ生が何を学んできたか、ゼミ誌に掲載したものを載せます。平成27年度の3年生(岐阜市立長良小学校を参観)が書いたものです。

ダウンロード
岐阜市立長良小学校を参観して
2015_3rd_grade_gihu.pdf
PDFファイル 372.4 KB

平成28年7月&5月 シャベッセ(模擬授業の会)

 この年度はシャベッセを3回やるということで、5月、7月、12月に日を設定しました。

 5月は、連休明けにシャベッセをやることにしましたが、そんなに早くきちんとした授業が創れるはずがありません。そこで、ここは板倉さんたち仮説実験授業の会の授業書によって、メルカトル図法で描かれた世界地図の穴に気づかせる授業を阿久津、林、山内の3人にやってもらいました。楽しくする工夫があり、やる気を感じました。

 シャベッセの前日は、吉田の誕生日でした。4年生が気をきかせてケーキを研究室に持って来てくれました。ありがとう!!

 7月は、宇佐美真帆さんの卒論『メディアの風評被害』をもとに、井上、中村、森の3人が模擬授業をつくりました。授業づくりの過程で3年生の中が一層よくなっていったように思われます。

 こういう記録をつくるつもりがありませんでしたから、授業記録のビデオはとりましたが写真はありません。終わって、喜んでいるところと後の御苦労さん会の宴会写真だけが残っていました。

 はじけている写真は、12月の授業者〔黒沢、今野、志賀、嶋田〕たちです。

ダウンロード
2015年春学期のシャベッセ
2017年3月に卒業したゼミ生が3年生の時にやったシャベッセの写真がみられます。
2015_spring.pdf
PDFファイル 226.0 KB

平成28年9月2日(金) ゼミ宿泊研修会

毎年、8月の終わりか9月のはじめに3年生と秩父あるいは奥多摩に行き、カヌーで遊びます。でも、その前後には図書紹介という勉強時間があります。

 今回読んだのは、久米郁男氏の『原因を推論する―政治分析方法論のすゝめ― 』(有斐閣、2013年) でした。社会専修にいる学生にはぜひとも読んでほしい本でした。

 


平成28年11月3日(木)埼玉県の伝統的行事見学 with 3年生

   うちのゼミでは、毎年とは言いませんが、結構「伝統・文化」を取り上げて卒論を書きたいという学生が出ます。今年度もそういう学生が出たので、3年生全員で毛呂山町の流鏑馬を見に行きました。残念ながら3人欠席しましたが、なかなか見ごたえのあるものでいい経験になりました。


平成28年12月3日(土) シャベッセ(模擬授業の会)

 3年生による模擬授業の会、シャベッセの3回目です。今回は、神田絢香さんが書いた卒論に基づき「川越の観光」を取り上げました。

 神田さんは、観光地理学の成果と吉田の「社会参画学習」の考え方をとり入れて、「川越の観光をもっと盛んにするために、公-共-商-私が何ができるかを考えよう」を単元の主発問にした授業を創り上げました。

 授業を無事に終えた3年生(担当)は嬉しくてはじけてしまっています。


平成29年1月7日(土) 平成28年度第1回卒論発表会

松の内から、もう大学で第1回目の卒論発表会です。

 ありがたいことに助手さんも来てくれていて、飾り花や「吉田ゼミ 卒論発表会」という掲示物を教室入口に貼ってくれました。

 

 卒業生も3名と本当にわずかですが、わざわざ足を運んでくれました。彼らに話を聞くと、小学校では現在、彼らが知る限りですが、社会科が研修教科として取り上げられていないということです。

 

 ゆとり学習への反動で「基礎・基本」が声高に叫ばれるようになってから、多くの学校が国語か算数の研究校になってしまいました。最近は、外国語活動あるいは道徳を研修テーマに取り上げていますが、「社会科」は取り上げてもらえません。「理科」も同じような状況にあると思います。

 

 社会や自然を科学的に見る目、そしてその上で、今の在り様をどうしたらよいかを考える力、そうした省察力を育てる機会が少なくなっているというのは、危機的な状況だと私などは考えてしまうのです。




平成29年1月28日(土) 平成28年度第2回卒論発表会

 例年通り、第2回目の発表会は、一人ひとりに、自分の作成した学習指導案に基づいて模擬授業をやってもらいました。

 

 一人、20分。

 

 ゼミの2年生と3年生が、子ども役をやります。ビデオカメラで記録している者もいます。

 

 驚いたのは、ほとんどの4年生が笑顔で授業をしていたことです。たしかにはじめこそ、緊張気味の表情をしていましたが、2~3分も経つと笑顔に変わりました。

 

 不満は、課題(最近は「めあて」というのでしょうか)を、あまりにも簡単に示すことでした。もっと子どもたちを揺さぶって、たくさんのはてなを引っ張り出してから

 

「じゃあ、今日はこれについてみんなで考えようか」とか「調べよう!」

 

としてほしかったのですが、どの実習先も

 

「めあてや課題を先ずきちんと示そう」

 

ということで授業づくりをしているのでしょうか。導入でのゆさぶりはもう流行らないのかもしれません。