教科書、副読本にみられるアイヌ民族関係記述について

北海道教育大学にいたときに集中的に取り組んだテーマでした。

ここで分析対象とした教科書は昭和20年代のものから始まり、平成14年版で終わっています。

中学校の歴史教科書の場合、平成17年版以降、格段に、アイヌ民族関係記述の質は上がりました。

副読本は、北海道の100以上の市町村(ただし、平成8年当時は214市町村あった)の小学校中学年用に編まれたものを研究対象として取り上げました。



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中学校社会科歴史教科書におけるアイヌ民族記述(近世史)の誕生 (出典不明)
本論は,「多文化主義的・多元的記述を構想するための基礎作業としての教科書分析」という副題を持つ。
 ここでは、東京書籍など 5 社の昭和 53 年度本中 学校社会科歴史教科書の近世史にアイヌ民族関係 記述がはじめて登場した理由を明らかにしようと するものである①. 当時,学習指導要領が,近世史にアイヌ民族関 係記述を盛り込むことを特に要求したわけではな い.また,アイヌ民族関係団体の方から各教科書 会社に対して特に働きかけがあったわけでもない. したがって,それは教科書出版社側の自主的な判 断によって行われたものである. なぜ,このような自主的決定がなされたのか. これを関係者へのインタビューと関連文献の読み 込みによって明らかにすること,これが本稿の目 的である.
ainu_kijutu.pdf
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中学校社会科歴史教科書に現れたアイヌ民族関係記述について (出典不明)
本論は,中学校社会科歴史教科書に現れたアイヌ民族関係記述を分析し,「本土民
族i」とアイヌ民族とに関して,1)どのような物語が構成されてきたのか,2)そ
の物語はどのような推移をみせてきたのか,3)そうした推移の背景には何がある
のかを明らかにしようとするものである.
社会科歴史教科書の「分析」というと,編集者や執筆者のイデオロギー暴露や糾
弾というものであったり,あるいはアカデミックな成果が精確に反映されているか
否かという視点のものであったりするのが一般的である.
 だが、ここではそうした従来のアプローチを採らず、「学問からの偏差」アプローチという手法で分析を進めた。
ainu_kyoikushakaigaku.pdf
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道内社会科副読本におけるアイヌ民族関係記述について (平成9年)
本研究は, 日本においても多文化教育/多民族 教育の視点を取り入れて学校知, 教育的知識が再構成されなくてはいけないという問題意識を底流に持つ。 すなわち, 今日の学校知の多くは, 無意 識のうちに自文化中心,自民族中心に構成されているであろうが, それを転換しなくてはならないという問題意識の上に成立している。
 本論文は、このような問題意識を持って、道内の小学校用社会科副読本に見られるアイヌ民族関係記述を分析し、その問題点を改善方向を示唆したものである。
アイヌ民族関係記述(社会系教科教育学会;第9号)79-86.pdf
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中学校社会科歴史教科書に現れたアイヌ民族関係記述について(その1) ー中近世史記述に限定して一
本論は、北海道教育大学紀要(教育科学)第55巻 第1号に第1回を載せ、その後、毎号連載し、(その4)まで書いた。兵庫教育大学に提出する博士論文として書いたので、最終的には、吉田の著書『社会科教授用図書におけるアイヌ民族関係記述の生成と展開』(風間書房、2012年)としてまとめた。
アイヌ(中学)№1_北教大研究紀要H16_9.pdf
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中学校社会科歴史教科書に現れたアイヌ民族関係記述について(その4) ー中近世史記述に限定して一
平成16年9月に発表した(その1)には、論文の冒頭に次のようなことが書いてある:
本稿の目的は,中学校社会科歴史教科書におけるアイヌ民族記述の実態と推移を明らかにすることである.教科書分析にあたっては,次のような作業仮説に立っている.
初等・中等学校用の歴史教科害は,歴史学の成果を精確に伝えるという意図だけで作られていない.
この作業仮説の根底には,(初等・ 中等学校における歴史教育は歴史学教育と等号で結べるものではなく, したがって教科書も歴史学の成果を児童•生徒の発達段階に応じて伝えることだけを目的としたものではな い)という見方がある.
 こうした見方の下、書き進めたものである。
アイヌ(中学)№4_北教大研究紀要H18_2.pdf
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