伝統・文化

 「伝統・文化」の指導は、小学校では昭和43年版の学習指導要領から言われるようになってきました。それを受けて、43年版学習指導要領のために作られた『指導書』には、浮世絵を取り上げた授業プランが示されました。この『指導書』の作成に携わった高橋貞夫氏(世田谷区内の小学校校長でご退職)によれば、それを書いたのは古川清行氏だそうです。

 こう見てくると、「伝統・文化」の学習が言われるようになってもう50年にもなるのですが、社会科教育の研究者の取り組みは、まだまだ少ないように思われます。中村哲氏が「和文化教育」を掲げ、その薫陶を受けた方たちが社会科伝統・文化学習の授業プランを盛んに開発されていたのは10年くらい前のことでしょうか。それ以降、目立った動きはありません。

 

 ここには、どうしたら、社会の仕組みを知ることと結びつけた、しかも伝統・文化の担い手を生み出すことのできる社会科伝統・文化学習を生み出そうと苦闘中の論文を載せてあります。


昭和20年代の学習指導要領に現れた「伝統・文化」学習

ダウンロード
「社会科伝統・文化学習」の転回と構築<その1> (文教大学『教育学部紀要』)
本稿は、標題の下に行われている研究の「はじめに」と「第Ⅰ章」の1節、そして2節の途中までに当たる。
本研究が最終的にめざしているところは、社会科における「伝統・文化」の学習の授業開発である。本研究、これまで社会科において行われてきた、あるいは提案されてきた「伝統と文化に関する教育」を「社会参画」力を育成するためのソーシャリゼーションという視点などから検討し、それぞれの長短を明らかにした上で授業モデルを構築し、それに基づいて岡倉天心とフェノロサをとりあげた小学校6年生の歴史授業を開発しようとしている。
伝統・文化(学内紀要用)1.pdf
PDFファイル 622.6 KB

ダウンロード
「社会科伝統・文化学習」の転回と構築<その2> (文教大学『教育学部紀要』
本稿は、標題の下に行われている研究の第2回目の発表である。
前号において、本研究が最終的にめざすもの――「社会科伝統・文化学習」の授業開発――、そしてその理由――そのような目的設定は、教育基本法の改訂などにより、社会科において「社会科伝統・文化学習」の教材及び授業開発が喫緊の課題になったから――を述べた。
さらに、先行研究・実践を分析するための枠組を示し、それにより、『22年版(試案)』における低学年の「社会科伝統・文化学習」を分析した結果を示した。
本稿は、それに続くものであり、『22年版(試案)』における中学年及び高学年の「伝統・文化」の学習がどのようなものであったかを明らかにするものである。
伝統・文化(学内紀要用)2.pdf
PDFファイル 879.3 KB